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第2回・ビルリノベ詳細解説・電気工事

そこは電気もガスもなかった

ビルリノベーションの詳細解説。「プロジェクトY・電気工事編」です。電気も無いは言い過ぎですが、電気は通ってました。しかし、電気の容量が少なすぎたのです。

ビルとして必要な電気量が無かった

一般家庭で使用する程度の電力容量しか取れず、それではオフィスとしての需要を満たす事ができません。

そのため、東京電力と協議して新たに地中から動力電源という空調用の電源と、電灯用の通常電源の電線を太くする(非常に簡易に説明してます。)工事を行いました。

この工事を実施するケースはあまりなく、かなりレアなケースですがビルの電力容量に悩んでいるビルオーナーさんにとっては参考になる話かもしれません。

電柱が無い?地中にあります。

このエリアには電柱がありません。通常は電柱経由で新たな電源を引き込むのですが、電柱が無いという事はどこにあるのか?答えは地中です。

そのため、交通規制を引いて道路を掘って電源を取り出す工事が必要になります。そのため、この引き込み工事自体は東京電力管轄で行うため工事の待ち期間がとても長くなります。

申請から1か月近く待ってようやく工事が始まりました。

引き込んだ電線の行き先

引き込んだ電線は室内側にそのまま飛び込む事はなく、外の電気メーターを経由して室内に入ります。今回は電柱からの引き込みではないので地中から上に電線が走るような設置になります。

室内配線も大苦戦

新しい電源を引き込むのと前後して室内側の配線工事も行っていました。しかしながら古い建物のため電線が全てモルタル壁の中に入っておりほぼ使えない状況でした。

そのため、新規で配線を通し直して室内壁のどうにも壁中を通せない箇所は露出配線としました。どうしても露出配線を避けたい箇所は下の写真のように通気口に配線を通して引き上げる等工夫をしました。

同業者の方が見てくださっていたら、「なぜ壁を蒸かさなかったの?」と疑問に思うかもしれませんが、このビルはとても狭く、壁を蒸かす事で部屋が狭くなるというのがNGでした。

全てLED照明に交換

新しく引き直した配線にLEDのベースライトを設置して室内側工事は仕上げました。

どちらも地中から引き込み

電源引き込みの限界

無限に電力量は増やせない

こちらのビルは1階に飲食店が入る事もあり、当初予定ではもっと大きな電力量を引き込む事を希望しました。

ですが、東京電力の方で地中から引き込める電力量の割り当てが決まっており、当初希望の容量には足りない電力量までしか増やせませんでした。

そのため、地中や電線から電源を引き込めば希望の電力量に到達するとは必ずしも言えないという点が注意が必要です。事前に東京電力との協議が必要になります。

ただし、ビル全体の電力マネジメントの方法を工夫すればある程度の容量が増やせれば、テナントが活用できる選択肢は増えます。

例えば、あまり電力を使わないフロアの電力量をセーブする。ガスを引いて飲食店は熱源は基本的にガスを利用してもらう等、工夫の方法はいくつかあります。

ただし、こちらのビルはガスにも課題がありました。それは次回にご説明します。