地中を掘り起こして交換
ビルリノベーションの詳細解説。今回は「プロジェクトY・給排水工事編」です。こちらのビルは室内側の給排水は全て交換しました。
それだけではなく、オーナー様の意向で古くなった地中の汚水マスも交換しました。これはなかなかやらないレア工事です。
問題はその場所
汚水マスというのはトイレの汚水を下水に経由させるためのマスです。どのようなビルやマンションにも必ずあります。
こちらのビルの地中の汚水マスは劣化が進んでいました。とはいえ、なかなか簡単に交換できるものでもないため見送るケースも多いのですが、オーナー様のご意向で交換することになりました。
が、問題はその場所。1階のテナント用のスペースの地中に汚水マスがありました。基礎を避けたスペースですが、厚いコンクリートで覆われておりその厚さは30㎝程度ありました。
道路工事で使うカッターを導入
道路工事で使用するカッターを使用して、分厚いコンクリートを切断します。当然ですが、基礎は避けて建物の構造に影響しない箇所を切ります。上の写真の手前側に四角に穴が開いている箇所が古い汚水マスです。
配管を交換する
ようやく掘削した地中に配管を新たに引き直します。いくつかのマスを経由して下水に接続をしたら配管工事は完了になります。
実際にきれいな配管になるとやって良かったなと安心します。ですが、ここで工事は終わりではなく当然この解体した床を再びコンクリートを張って戻す作業が残ります。
コンクリートを戻すには?
カッターで切断したコンクリートを戻すには、当然ですがもう一度コンクリートを打つ作業があります。このくらいの穴であってもコンクリートを使う量は大量です。
そのためタンクローリー車でセメントを入れてもらいます。
タンクローリー車に入る全てのセメントを一発で入れる事はできません。なぜなら、ある程度入れたセメントを均す(ならす)作業が必要になるからです。
そのため複数回に分けてタンクローリーからセメントを入れるのですが、それまでの間にセメントが固まる可能性があるため、タンクローリー車はその間はどこか近くの場所で待機してタンクローリーを回し続けます。
打ち直したコンクリートは美しく仕上がりました。木枠のようなものは後から入る飲食店のテナントさんの工事の都合で取り付けたものです。
後からは出来ない工事
この工事はテナントが入ってからは行うのは非常に困難な工事です。まず、こちらの写真のようにお客さんが出歩く場所であるため大規模な工事はできません。
また、飲食店等の場合、厨房スペースも作られてしまうため当然ですが、コンクリートを掘削するような大規模な工事はできなくなってしまいます。
この工事をしっかりやっておけば、このように飲食店が出来てからでも万全を期す配管工事を行っているため、オーナー様も安心してテナント様に貸す事ができます。