リノベーションの基本

先行配管工事について知ろう

カドウリツRENO リノベーション 先行配管 追い炊き配管

水のルートを先に作る

解体工事が先に終わると次に施工配管・先行配線工事に入ります。先行配管は水回りの配管工事を大工工事の前に行う作業です。先行配線工事は電気の配線工事を同じく大工工事の前に行う作業になります。

なぜ、先に先行配管や先行配線工事をするのか?それは床や壁が大工さんが立ち上げる工事を行った後では床下や壁裏を通す工事が出来なくなるからです。

たまに、段取りを間違えて大工さんが先走って工事をすると配管や配線を通せない箇所を解体してやり直し工事をする事があります。

そうならないように原則として、大工工事が始まる前に先行配管、先行配線は終わらせておきます。ただし、工程がタイトな場合は同じ日程で工事を進める事もあります。

給水の配管を通します

水道周りの工事をする職人さんを水道屋さんとは呼ばず「設備屋さん」と言います。関連して、キッチン、浴室、トイレ、洗面台等の「水に関わる設備」を「設備」とか「住設」という呼び方をします。

先行配管工事は工事完了後にキッチン、浴室、トイレ、洗面台等の設備を取り付けるための水の流れるルートを先に作っておく作業を行います。

簡単に言うと、水を室内に入れ込む「給水」と水を室外に出す「排水」の二つの管を配管します。給水管は最近ではホース状の位置変更がしやすい柔軟で非常に頑丈な架橋ポリエチレン管という給水管を使います。

設備の職人さんは室内が出来上がる前の何もない部屋から墨出しという、例えば先々、この場所にキッチンができますよという目印を黒い線が引かれた目印を頼りに配管を行っていきます。

また、先の工事で壁が立ち上がる箇所等に配管が邪魔にならないように考えながら、且つ給水の圧力がかかりすぎないように注意をしながら配管をしていきます。

給水の入り口は一つだけ。本管は20㎜・枝管は13㎜

室内には色々な水道設備があります。だからといって水道の蛇口の数だけ室内に給水栓が飛び込んでいるわけではありません。給水は基本的に1か所。水道メーターからの飛び込みだけです。

その水道メーターから飛び込んだ管(本管)を細かく各設備に振り分ける配管(枝管)をしていきます。

水道メーターから直接引き込む本管は20㎜の太い架橋ポリエチレン管を使います。そこから各設備に分岐していく細い管は13㎜の架橋ポリエチレン管を使います。

また、配管された架橋ポリエチレン管はそのままにしておくとズレて危険なため、サドルバンドという金属のフックで固定をします。

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排水の配管は勾配がキモ

排水は昔は鋳物や鉄が使われていた時代もありましたが、現在ではVP管という管が使われます。排水に関しては設置する設備ごとにVP管の太さが決まっています。

排水管の太さランキング

75φ:トイレ
50φ:ユニットバス、洗濯パン
40φ:キッチン、洗面化粧台

VP管の太さにはφ(ファイ)という単位が用いられます。職人さんは「パイ」と言うケースも多いので、「キッチンなので40パイの配管を通してます」とか、数字だけで「40を通します。」という言い方をする事もあります。

VP管の太さはだいたいが強く確実に流す必要があるものほど太い管が使われる傾向にあります。また、室内から室外に排水される口のサイズが該当する太さに併せて作られています。

ところで、トイレとそれ以外の生活排水は同じ場所を流れていくのでしょうか?

答えは基本的には別です。

マンションの築年数によっては必ずしも言い切れないのですが、原則として室内側でトイレ等を「汚水」それ以外を「雑排水」として二つの排水管の出口が室内にあります。

VP管は硬い素材のため給水管の架橋ポリエチレン管と違いそれ本体だけでは自在に曲げる事はできません。そのため、基本的にカーブしたり折れ曲がった箇所には専用の接続部材を使います。

接続部材同士は専用の接着剤を使って接合していきます。排水管に関しては床の下を通るため後工程の大工工事で邪魔にならないように配管することが大切です。

また、給水と異なり排水の場合は流れる力に限界があります。そのため排水は基本的には自然の勾配に沿って排水していくように配管をしていく必要があります。

要するに排水口に向かって斜めになるように少しずつ傾斜をつけて配管をしていく必要があります。

追い炊き配管の裏側?

追い炊き配管もこのタイミングで引きます。追い炊き配管というのは給湯器と浴室の間を水とお湯を行き来する管を1本ずつ、合計2本通す必要があります。

ここで給湯器がどこにあるか?が非常に重要でして、給湯器のある場所と浴室を往復させないと追い炊き配管はできません。

そのため、例えばベランダに給湯器があって、玄関側に浴室がある場合は室内を縦断して追い炊き配管をする必要があります。

追い炊き配管が室内を縦断するのはどこを通るのか?当然ですが、床下です。まれに壁中を通すパターンもあるようなのですが原則として床下に追い炊き配管が通ります。

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遠くのエアコン配管もここで

エアコンがこれまで取り付けられなかった玄関側の部屋に新たにエアコンを取り付けられるようにする場合、二つの配管工事が必要です。

冷媒管とドレン管

冷媒管はエアコンと接続する管の事で、室内と室外機の間で接続する必要があります。そのため室外機のある場所と室内のエアコン本体との距離分の配管が必要です。

つまり、状況によってはとても遠いです。こちらも給湯器と浴室との間の追い炊き配管と同じく距離がある配管が必要になるケースがあります。

そして冷媒管に関しては床下だけとは限らず、壁中や天井裏を通して配管をする事があります。

もう一つの管であるドレン管はエアコンの排水をする管の事です。室外機の脇にぽたぽたと水が出ている管を見て事がないでしょうか?あれです。

ドレン管も冷媒管と同じルートを通せばいいのか?答えはNOです。

同じルートを通せる事もありますが、完全に同じルートでは通せない事もあります。それは室内の排水と同じく排水自体に圧力が強くないため勾配が必要だからです。

極端な話、冷媒管は上がったり下がったりしても大丈夫ですが、ドレン管は基本的には下がるだけの配管にしないと水が逆流してしまいます。

エアコンのトラブルでエアコン本体から水が漏れてくる事がありますが、その原因の一つがこのドレン排水の勾配が取れておらず排水が逆流してくるのが原因です。

そのため、玄関近くの部屋のエアコン配管に関してはドレン管がベランダまで持って行くのが困難なケースがあります。そういった場合はどうするのか?

答えは玄関近くにある設備用の排水と一緒に接続する工事をします。例えば玄関近くに洗面台があればその排水と統合できるように先にドレン管を接続しておきます。